人工衛星やロケットが事故により被った損害を補償する人工衛星保険
人工衛星保険とは
人工衛星保険とは、製造段階から軌道上での実用段階にいたるまで、多様なリスクをカバーする保険です。
1975年、あいおいニッセイ同和損害保険の前身である同和火災海上保険が日本で初めて「人工衛星保険」を開発しました。人工衛星保険は、保険契約者または被保険者と保険会社との間で交渉していくオーダーメイドの保険で、大別すると4つの種類に分けることができます。
打上前保険
工場から打上基地への輸送中のリスク及び射場での組立作業中、保管中、点検中等のリスクを補償する保険です。保険会社が補償をする期間は一般的に製造者から引取りをした時点から開始し、終了は衛星を打上げるロケットが点火もしくは地上を離れた瞬間となります。
打上保険
ロケットによる打上げ時のリスクを補償する保険です。保険会社が補償をする期間は前述の打上前保険の終了時点に開始され、通常は人工衛星がロケットと分離し、所定の軌道に投入された後、衛星が正しく機能しているかどうかを確認する検査が終了するまでの間となります。
寿命保険
衛星が軌道上における初期機能検査を終了し、実用段階に入ってからのリスクを補償する保険で、衛星の所有者または運用者が保険契約者となり、通常1年毎に更新されます。人工衛星の運用可能期間(寿命)は一般に打上げから10年〜15年程度です。
通常この寿命は設計・搭載燃料等によって決定されますが、厳しい宇宙環境に長期間さらされることにより人工衛星にいろいろな故障が発生し、その故障によって生じた衛星の損害に対して保険金をお支払いすることとなります。宇宙では小さい故障でも大きな損害の引き金になる可能性がありますので、寿命保険の引受に当たっては、それらの確認が重要となります。
第三者賠償責任保険
打上げ時または軌道上で第三者に損害を与えたことにより負担する法律上の賠償責任を補償する保険です。ロケットの燃料の点火時や発射直後のロケットの爆発等による第三者の人命及び財産に与えた損害の賠償責任等が、保険金お支払いの対象となります。
人工衛星にかかる費用は莫大な金額です。当然、事故が起きた場合の損害額も莫大な金額になります。
リスクを考えると非常にメリットのある保険ですね。